占星術で具体的な時期を知ることができる
前回の記事で、ホロスコープにも誰でも30代後半からの約10年近くの間に、まさしくクライシスといえるような逆境や試練を伴う重要な転機がどなたにも示されているとお伝えしました。つまり、漠然と30代後半から40代後半に起きやすいといわれているミッドライフ・クライシスが、ホロスコープを読むことによりその具体的な時期を絞り込むことができます。
人生を左右するような重要な転機には、太陽から遠く離れた土星、天王星、海王星、冥王星といった天体が影響しています。これらの天体は地球から遠く、公転周期も長いため、あるていど同じ時期に生まれた人は概ね近い場所に位置しているため、天王星以遠の天体は世代天体とも呼ばれ、その世代の特徴を示すことになります。
破壊と再生の星、冥王星がもたらす強制的な変容
なかでも、もっとも地球から遠い、公転周期にして248年という冥王星。破壊と再生の星ともいわれ、有無を言わさない大きな力で変容を促していきます。その冥王星が、生まれた瞬間に位置していた場所に90度の角度をなす時期、その人にとって、重要な変容を促す転機の時期となります。冥王星がもたらすのは、有無を言わさない強制的な変容。本人の意思ではどうにもならない大きな変化、それも後戻りができないような、根底から覆す完膚なきまでの変容が促されるので、何回か訪れるミッドライフ・クライシスのなかでももっとも重くしんどい逆境として現れることも多いです。
私は、すでにかなり前にこの冥王星の危機を経験しています。そのころはただただその逆境に苦しみ、これまでの自分を全て否定され、仕事もできない状況に陥り、文字通りすべてをリセットした時期でした。
冥王星は進行が遅く、また逆行をする時期もあるので、2年~3年その影響をうける時期はありますが、やはりジャストでヒットする数回(逆行するのでいったりきたり複数回ジャストヒットすることが多いです)が、大きな節目となりました。
当時はモラハラ夫とその産みの親である強烈な姑との同居してストレスを抱えていたころで、冥王星が近づき影響を与えだしたころ、第2子をストレスと過労により流産し、それから少しずつ弱っていき、最初に冥王星に90度でジャストヒットするころ、家出をして別居をスタートしました。そして、その後鬱になり休職し、環境を変え、さんざん悪あがきをして、最後に冥王星がジャストヒットした(順行→逆行→順行で計3回あった)その月に、無事離婚を果たし、名実ともリセットして新しい人生をスタートさせました。
この当時は私はまだ占星術を知りませんでしたので、あとから振り返ってあまりの符合にぞくっとしたのを覚えています。私が西洋占星術の示す時期表示の確かさを強く認識したきっかけの1つです。
いま冥王星の危機を迎えている年代は?
前に書きましたが、冥王星はとてもゆっくり進行しますので影響期間が長いのですが、経験上やはりジャストヒットするタイミングが重要なことが起こりやすいと思います。冥王星は、楕円形の軌道をとるので生まれた年によりヒットする時期に差があります。
私は35歳~36歳のころ訪れましたが、いま現在、この冥王星がジャストヒットしている転機を迎えているのは、現在38~39歳を迎えた方。もう少し細かく言えば、1982年12月~1984年半ばくらいまでに生まれた方は、2022年~2023年は重要な転機な年となるでしょう。すでに体験として感じられている方も多いかもしれません。
今年冥王星の影響を強く受ける年代
あくまで一番影響の強いジャストヒットのタイミングを迎える方というだけですので、前後の年代の方も影響はまだ(もしくはこれから)大きいものと思います。
ここまで培ってきた考え方や生き方がすべて覆されるような、順調にこれまで進んでいた人にも立ち止まって考えなおすべき問題がおこりやすい時期です。
表面的な問題ではなく、心の奥底の問題をあぶり出すような、魂が選んだ生き方をしているかを問いかけるようなそんな根本からの変容を促してくる問題となるので、逆境として現れている方もいるかもしれません。
恐れることはない
しかし、星は巡り続けていますからそれはずっと続くものではありません。逆境のなかにいると先の見えないトンネルのような気持ちになることもあるかもしれませんが、抜けないトンネルはなく、明けない夜もまたないのです。
いま冥王星の影響をジャストで受けている方なら、2023年末には最後のヒットを迎えます。複数回ヒットする場合、一番最後にヒットするとき、その転機における何かしらの結論がでるときといわれます。私の冥王星最終ヒットの際、離婚が成立し新しい人生が始まったように、いま渦中にいる方も必ず抜けて、ひと皮むけた自分になっているはずです。
とはいってもどう乗り切っていくか、渦中にいると見えてこないものですよね。
冥王星の危機では、見たくないこと、認めたくないことを突きつけられることもあるので抗いたくなることもあるでしょう。しかし否応もない変容を促すのが冥王星です。抗えば抗うほど、エゴにしがみつけばしがみつくほど、その葛藤は大きくななるので、よりしんどくなるかもしれません。
変容の波に抗わないこと。
目を背けず向き合うこと。
手放すべきものは手放すこと。
これが大切だと思います。
そして、冥王星がさらに巡って、あなたの出生の冥王星と調和の角度をなす50代前半には、、冥王星が力となってものごとがスムーズに動き出していきます。このとき向き合って得たものが開花して成果となる時期です。ここで向き合わず逃避をするとこうした本来追い風の時期に、再度の逆境として問いかけてくることのないようにしっかり向き合っておきたいですね。
転機はまだ続く
人によっては、この冥王星が抜けてもなにも変わらなかった、動けなかった…という方もいるかもしれません。
しかし、冥王星で始まったミッドライフ・クライシスですが、実はこの時期まだまだ転機の波は続きます。
このあと、迷いや誘惑、逃避を招きがちな海王星、そして、男性では厄年とも重なる葛藤や分離、離別などが起こりやすい天王星…と続いていきますが、私はこれらの一連の転機が成長のストーリーとなるものと思っています。
↓
転:海王星のもたらす理想の追求
↓
結:天王星のもたらす決別、自分らしさをみつける、再スタート
このあと再スタートした自分を土星が再評価を促し、40代半ばには新しい視点の転換が起こる時期を迎えます。
時期的には重なることも多いので、土星の影響やその他の重要な動きもミッドライフ・クライシスの時期に含めてもよい気がしますが、クライシスとして捉えると、この3つの天体のもたらす転機があってこそだと思うので、最後の天王星の危機のときにどう結論が出せているか、がキーになるのではないかと思います。
なので、冥王星が抜けたとき、目に見える変化を感じなかったとしても、悔やむことも焦ることもありません。冥王星は心の奥底に働きかけるので、自分の内面にしっかり向き合い、何かしらの気づきがあれば、その後の転機でブレることなく、レベルアップした自分としてミッドライフ・クライシスを乗り越えていけるのだと思います。
次回以降は、次に続く海王星、天王星の危機について書いていきますね。
知宙