キャリアの意味を考える
さて、このサイトでも大きなテーマである「キャリア」という言葉。
皆さんどのようなイメージをお持ちでしょうか? 一般的には、仕事や経歴、また職業上の特定の役職としての印象も強いでしょうか。
もともとの語源となったのは、ラテン語の馬車などの乗り物をさす「carrus」であるといわれ、轍(わだち:車輪などの通った跡)という意味があります。それが転じて、人生のおいて人がたどる足跡、経歴や遍歴などを意味するようになったといわれています。
キャリアの概念として、厚生労働省は下記のように表現しています。
出典:「キャリア形成を支援する労働市場政策研究会」報告書要旨より抜粋
すなわち、単なる職歴や経験、役職といった結果のみを示すのではなく、継続して積み重ねられた過程そのものであるということですね。
また、文部科学省では、
こちらも同じように継続的なプロセス(過程)であるとしていますが、単に職業と狭義にとらえず、社会や他者とのかかわりのなかでの役割を果たすことを通して自らの価値を見出し、そのプロセスの違いこそが「自分らしい生き方」となっていく…としていることころが、とても興味深いですね。
より語源に近い解釈が加えられているように思います。
キャリアといえるものがない?
以前、ご相談を受けたクライアントさんで、
「長年専業主婦をしていて、私にはキャリアといえるものがありません」
とおっしゃる方がいました。その方は、占星術的な資質をみると、独立心が強く、またそれを生かして成功できる資質をお持ちでしたが、結婚後家庭に入り、体調的な不安もあり、フルタイムでのお仕事はされていませんでした。しかしながら、彼女は家庭では母親として2人のお子さんを育て上げ、地域での活動など積極的に参加され、パートタイムで塾講師などをしていたこともあったそうです。それはもう立派なキャリアです。それでも、収入的には夫に依存する形になっていることが、彼女には所在なく感じ、つらかったとのことでした。もって生まれた資質や欲求とのギャップに苦しんでおられたんですね。
収入につながる仕事だけがキャリアをつくるものではありません。家庭に入り、家事をこなし地域との関わりをこなし、母親として育児をこなし、また趣味や嗜好のなかでも、それぞれ役割があるものです。それらの経験やプロセスは、すべてそのひとのキャリアといえるものです。「何もない」なんていうことは、あるはずがありません。
あなたのキャリアを書き出してみよう。
とはいっても、経済的な自立をめざすとき、社会人経験が少なかったり、ブランクがある場合には不安があるかもしれません。
ほんの少しのスキルとノウハウと、一歩踏み出す意志があれば、あなたの望むキャリアを創っていくことができます。
キャリアとは、人生のプロセスです。
就職や退職、結婚や離婚、出会いや離別など、仕事に限らず、人生において多くの経験をされてきたと思います。そのなかには、失敗や不本意だったこともあるでしょう。
しかし、そんな経験も長い人生のなかの次に進むためのプロセスの一部にすぎません。そして、そのプロセスこそ、その人らしい生きざまであり、キャリアとなるものです。
もし、あなたがいま、自立したいのにどうしても自信がもてずにいるとしたら、一度ご自身のこれまでにやってきたこと、経験してきたことを書き出してみましょう。
それがあなたのキャリアです。
そのキャリアの未来には、何を描きたいですか?
知宙